十一話
十一話
部室に置いてある木刀を手に握り、部室の戸を音が出ないようにゆっくりと引く。
「とっちめてやる」
女性とは思えない勝気な笑みを表情に浮かべ、抜き足差し足で歩行する。自分が返り討ちにあう可能性なんて全く考慮していない。用務員に連絡するなどもっての他。その間に犯人が逃げてしまうかもしれないし、何より自分の気がすまない。
音のする方向からは明かりが見える。声が聞こえてくるのは教室の中。頭上を見るとそこには三年九組のプレート。部室とは正反対の位置にある真東の教室。息をひそめ、腰を落として耳を戸に当てる。
「……なに言ってんだ、こいつ?」
戸の向こうからは変に時代がかった言葉が聞こえてくる。『我』、
『汝』などの一時代前の言葉使い。司影は眉をしかめ、
「泥棒じゃなさそうだな」
ほっとしたような、残念そうな、何とも複雑な表情で胸を撫で下ろす。
「でも何してんのかさっぱりわかんねー」
一応木刀は持っておいた方が良さそうだと、司影は判断した。
左手に木刀を握ったまま、司影は室内の様子を探るためにそっと戸を引き、眼を凝らす