十五話
十五話
おどけたように両肩をすくめる昇。
「……方程式は難しそうだから置いておくとして、思い込みで超能力使えるなら、もっとたくさんの人が超能力使ってないか?」
超能力と魔術はちょいと違うんだが、と言いつつもその話題は脇に置き、昇はこう答えた。
「だから、こういったものを使う」
その質問に待ってましたとばかりに昇は荷物を詰め込んだリュックを軽く叩く。
「水は水素と酸素から出来ているし、物体は上から下に落ちる。物が燃えるには火元と酸素が必要だし、1+1=2だろ?」
「……何当たり前のこと言ってやがる」
思わず仏頂面になる司影。
突然何を言い出すのか。
「当たり前の事柄、つまり常識。これに縛られずにどうやって『火元がなくても俺は手放しで物を燃やせる!』って確信を持てるんだ?」
うん? と意地悪く尋ねる昇に対し、司影は天井を見上げる。
うまい反論が見付からない。少々悔しげに司影はほぞを噛む。
「……つまり、常識に縛られないようにするにはああいった物が必要なのか?」
「人によるがな。常識に縛られれば、精神集中が弱くなる。精神集中が弱くなると、『魔力』が小さく、あるいは働かなくなる。結果、『魔術方程式』を操る事は出来ない。だから精神集中が弱い者はそれを補う衣装を着たり、やたら長い詠唱を方程式に組み込む事でより自己を陶酔させて大きな力を扱おうとする。もしくはさっきみたいに場の準備を整えんだ。あとは……常識の度合いが重要だな」
「……度合い?」
それに対し、昇は顎に手をやり、
「ああ。大別すれば、『眼に見える常識』と『眼に見えない常識』の二種類」