三日月の絆

十八話

十八話

司影から顔を背けるように立ち上がり、椅子を元の位置に戻す。

「で、さっきのはそれはそういった魔術の類を一気に消しちまうものさ。力の消耗が激しいんで、出来る事なら使いたくないもんなんだが……状況が状況だったからな」

会話を強引に打ち切り昇は歩き出す。

「んじゃあ、詳しい話は明日にでもしてやる。宿題まだ残ってんだ、俺は。じゃな」

そう言うと戸を引いて脱兎の如く昇は駆け出す。

「な、お、おい! ちょっと待て!」

鞄を持ち、司影もあとを追おうと廊下に出たが、すでに昇の姿はない。足音すら聞こえてこないのが徹底している。

「……こ、こんなとこに女一人残してくなよ、あの馬鹿ぁ!」

頼りなげな罵声を残し、学生服姿の少女は玄関に向かって走り始めた。