三日月の絆

二十二話

二十二話

「それにしても二人とも仲睦まじい事で。わざわざ昇君の起床を司影君が待っているだなんて殊勝じゃないですか。最近の若者は結婚したはいいが離婚するのも早いですからね。しかし恋人同士ではどうなのでしょうか。やはり結婚同様別れる確率は以前よりも高いのでしょうか。サブカルチャークラブ部長の私としてはこれは非常に興味深い対象で」

「うるさい」

司影が放った言葉はこの一言だけ。

そんな司影を見て何が楽しいのか、長身を屈めて字久は彼女の顔を満面の笑みで覗き込み、次いで後ろから歩いてくる昇にちらりと眼をやる。眼鏡の奥の眼光には何やら楽しげな光が浮かんでいた。罠にかかった小動物を、どういたぶろうかと思案しているような眼。

そんな状況で司影は無言でずんずんと歩き出す。一人だけ突出する形になったが、それでも彼女の歩行速度は落ちない。

字久はそんな司影を見送りながら眼鏡のつるに手をやり、

「やれやれ本当に嫌われてますね私は。一体何がいけないのでしょうか。少なくとも容姿のマイナス点は眼鏡を掛けている事と目付きの悪さでしょうが人によってはこれが良いと言う人もいるでしょうね。となると私が嫌われる原因は性格にあるんでしょうか? ですが私の何が気に食わないと言うのでしょう。女性に対する手の早さでしょうか、それともこの閉じる事のない口ですかね、あるいは」

何がおかしいのか、ははは、と高らかに笑い、次いで昇に『昇君は何だと思いますか?』と振り返りながら問い掛ける。