二十九話
二十九話
昇としては魔術についての真実を知らない字久にどのような会話を展開すればいいのかと思案してしまう。まさかありのままを話す訳にもいかない。話したら最後、自分の魔術に対する見解を彼は校内中に言いふらすかもしれない。そしてそれを『本気』で受け取ってしまう者がいたら……
「では、ここは部長としての存在意義を誇示するためにも、私から説明をさせて頂きましょうかね」
故に字久がそう言うと昇は内心ほっと息をついた。向かいに座る司影のしかめっ面で、すぐ背中に冷たい汗が流れたが。
「昇君はある程度魔術に関しての知識があるようですが、司影君はからきしなので初歩中の初歩から説明させて頂きます。まず、感染魔術と類感魔術の説明から」
「呪いの話してんのにどうして魔術が出てくんだよ」
司影は不機嫌そうにそう言い捨てるが、昇がそれを否定する。
「いや、呪いと魔術って結構似てるんだよ」
「ええ。昇君の言う通りです。洋の東西の違いはあれど、魔術と呪術は似通った部分が多分にあります。と言うより、魔術の中に呪術が含まれている、という考え方の方が正しいのでしょうかね。それはともかく、丑の刻参りの特徴は何にあると思います、司影君?」
「……知るか。白装束だなんて切腹する奴なら誰でも着るし、蝋燭なんて魔法使う漫画じゃ結構描いているし、藁人形に髪縫い込むの」