三日月の絆

三十一話

三十一話

「御託は良い。とっとと類感呪術を説明しろ」

際限なく開かれる口を閉ざす事無く、かつ巧く話題を次に移すべく司影は口を開いたのだろうが、ぶっきらぼうに言っては、普通効果はなさない。

だが相手は高遠字久。口が水素より軽い男が相手だ。こんなものはボクシングで言う所のジャブにもならない。憮然とする司影に字久は全く堪えていないのか、両肩を竦め溜息をつく。

「では類感呪術の説明を始めましょう。類感呪術、別名『類感の法則』。『形の似たものは、相互に影響を及ぼしあう』というものです。丑の刻参りで人型の人形に釘を打ち込むのはこれから由来していると考えて良いでしょう。相手の似姿に傷をつけることで本体にダメージを加える事を期待しての行動です。ああ、先程昇君が言った『意志呪術』はそのままです。自分がどのような行為を為したいかをはっきりと具体化し、それを行動に移す、あるいは『死ね、死ね』というように口に出すのは」

「もういい、口を開くな」

 とても年上に向かって言うような言葉ではない。だが字久は何が面白いのか、そんな司影を見てニコニコと微笑んでいる。

 次いで彼は昇の方に眼を向け、

「さて、ではここからは私独自の呪術に対する見解を述べさせて頂きましょう」

「さっきの言葉を聞いてなかったのか」

 司影の仏頂面を見事なまでに完全黙殺し、字久は両肘をテーブルに突いて話し始める