四話
四話
「また今日もそれ着てんのかよ、司影」
呆れた口調で呟く昇。
「別にオレが何着たっていいじゃん。校則じゃ着てくる服は自由なんだし」
それに涼しげな声で答える司影と呼ばれた少女。
「女子で学ラン着る馬鹿がどこにいやがる」
「誰がバカだ。応援団の連中なんかは女子でも着る時、あるじゃんか。授業中に先公に眼つけられるようなことしないぶん、オレ、オマエにバカッて言われたくない」
楠木司影は女子にも関わらず学生服を着てくることで有名な女生徒だ。何の因果か、昇と同じサブカルチャークラブに所属している。
(こんなの恋人にしようだなんて言う、物好きな奴の気が知れん)
昇は彼女を慕うクラスメイトの顔を思い浮かべ、ゆっくりと腰を椅子に下ろす。それから思い出したように司影の方を向き、
「そういやぁ、どうして俺が石橋の授業の時に廊下で寝た事知ってんだよ?」
疑問を素直にぶつけた。
司影のクラスは二年三組。自分は二年六組。
どうしてこいつは古典の授業の事を知ってんだ?
「……お前のクラスメイトから聞いた」