七話
七話
「……前言撤回です。貴方が悪いのではなく、貴方の鈍感さが全面的に絶対悪なのですね。端山昇君、地球上に存在する全女性及び全男性の敵ですね、貴方は。こんな後輩を持ってしまった私は大変困ります」
はあ、と息をつくのと同時に、彼のポケットから着信音が鳴った。
携帯なのに『はい、高遠です』と、いかにも真面目そうな口調で応答する字久だが、それから聞こえてくる声は女性。ちなみに彼の携帯のメモリーは九割以上が女性のものだが、何故かそれを知っている者は少ないようだ。
携帯を畳み、何事もなかったかのようにポケットに突っ込むと、
「さて、今日は南君とデートですか。その前に橋本さんとの約束もありますし、明日は飯田君。ハードスケジュールですね」
気合いを入れていきましょう、と営業スマイルをその顔に貼り付けると、からから、と戸を引いて去っていく。それに対し、昇は眉をひそめつつ、
「なんか用事があったから部室に来たんじゃねえのか、あの人? なのに俺に説教たれただけで、なぜ帰る?」
やっぱ聞き耳を立てていたに違いない。