三日月の絆

八話

八話

ま、関係ねえか。呟き、その思考を昇は即座に放棄。

「とりあえず、俺は夜に備えねえとな」

痛む頭を労わりながら、昇は椅子から立ち上がる。間違っても、字久のように、ネオンの街に女性を引っ掛けに繰り出す訳ではない。

用事があるのは、ここ。

つまり、自分達が通う光洋高等学校。

一際強く輝く三日月がグラウンドを照らし出している。校舎の影が周りを闇で覆い、木々のざわめきが暗黒の彼方から辛うじて聞こえてくる。電灯の明かりはそれこそ焼け石に水で、ほとんど意味をなしていない。雲が見える程澄んだ空の下、

「ヤッパ、もうちょっと早く来た方が良かったな」

司影の寒そうな声。なぜと言うか、やはりと言うか、司影の服装はいつも通りの学生服。自身の体を寒そうに抱きしめながらじゃり、じゃり、とグラウンドを歩く足音が夜に囁く。

「鞄忘れるだなんてどうかしてるよ」

部室に置きっぱなしにしてしまった鞄。その中には明日の授業に使うものもある。勿論鞄を忘れたことはすぐに気付いたのだ。ただ、部室にいるであろう人物がそれを避けさせた。